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集中連載≫JR「品川新駅」の名称公募と、不動産物件名の深~い関係②

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テーマ:ライター記事


 JR東日本による山手線新駅の名称公募は、締切りまであと残すところ4日。

 前回は、一見最有力の「泉岳寺」駅案が簡単に採用できない理由と、なぜか駅南に北品川駅がある品川駅が、今度は新駅誕生で北側にサウスゲート(南口)ができてしまう可能性についてお話しをしました。

 今回は、「しながわ新都心」駅案の本命度について検証します。


■「しながわ新都心」は新都心でない?!

 さいたま新都心の耳慣れたフレーズからの連想なのか、意外(?)な健闘を見せている「しながわ新都心」駅案。確かに、一時期は新三菱村と評され、特に東海道新幹線の品川駅停車が始まって以降は、すっかりその様相を一変させた品川駅周辺エリアは「新都心」と呼ばれるに値するのかも知れません。

(品川再開発の歴史についてはこちら。

 しかしながら、この新都心という呼称、実は行政が品川地区のこと指して新都心として呼んだことは一度もありません。新都心という呼び名は、1987年に政府により策定された第四次全国総合開発計画において、首都圏を分散型ネットワーク構造として整備・発展させるため東京都区部以外に開発された業務核都市について付けられた名前です。よって、具体的に新都心というと、さいたま新都心(埼玉県)、幕張新都心(千葉県)、横浜みなとみらい21(神奈川県)の3つを指すことがもっぱらです。
 この理屈でいうと、品川地区に現在与えられている呼び名は、東京都が「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」において定めた「新拠点」というのが、行政的に認知された呼称になってきます。
 勿論、新都心という言葉の定義自体、厳密に縛られているものではありません。理屈的には「しながわ新拠点」と呼ぶのが正しいのかも知れませんが、感覚的に、言葉に安定感があるのはやはり「しながわ新都心」だというのはわかります。

 しかし、ここにそう一筋縄ではいかない、不動産業界特有の事情があります。

 皆さんのご自宅ポストにもよく投函されている、マンションや戸建て住宅の折込チラシ。俗に「不動産広告」と云われるこうしたチラシには、過剰なキャッチコピー等により消費者の購買判断を誤らせないよう、使用できる文言や表現に、適正とされる基準が設けされています。この基準を「不動産の表示に関する公正競争規約」というのですが、そこに"物件の名称の使用基準"として以下のルールが定められています。
 
 第19条 物件の名称として地名等を用いる場合において、当該物件が所在する市区町村内の町若しくは字の名称又は地理上の名称を用いる場合を除いては、次の各号に定めるところによるものとする。
 (1)当該物件の所在地において、慣例として用いられている地名又は歴史上の地名がある場合は、当該地名を用いることができる。
 (2)当該物件の最寄りの駅、停留場又は停留所の名称を用いることができる。
 (3)当該物件が公園、庭園、旧跡その他の施設から直線距離で300メートル以内に所在している場合は、これらの施設の名称を用いることができる。
 (4)当該物件の面する街道その他の道路の名称(坂名を含む。)を用いることができる。

 さて、本条の主旨をごく簡単にまとめますと、新たに物件名(≒マンション名)を付ける際には、「原則は住所地」で、例外的に(1)慣例的・歴史的に許容されている地名、(2)最寄りの駅名、(3)半径300m内に位置する名所・旧跡、(4)物件が面する道路の名前、の以上4つについてのみ、使用することが許されている…ということになります。
 この基準に従うと、仮に山手線新駅の名称が「しながわ新都心」駅に決まった場合、その名に「新都心」を冠する不動産物件が今後、新駅周辺に増えることは十分予想されます。
 これまで、わが国における首都圏開発のグランドプランのなかではその役割に応じ「都心」「副都心」「新拠点」「新都心」と使い分けられてきた都市機能の定義が、「しながわ新都心」駅の登場により、名目と実態の間で乖離を起こす可能性は低くないでしょう。

 もし新駅の名称が「しながわ新都心」駅に決まった場合、東京というメガロポリスを語るうえで、この論争はどのような決着を見るのか、それはそれで興味深いものがあります。

≪次回へ続きます≫

取材・文/TN(HN)
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