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集中連載≫JR「品川新駅」の名称公募と、不動産物件名の深~い関係①

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テーマ:ライター記事
 
 以前このブログでも、現在、品川駅北側にて急ピッチで進んでいる品川再開発プロジェクトについて触れました。


 そのなかでも最近、俄かに注目を集めているのが、この再開発に合わせ2020年に山手線 品川~田町間に開業予定の「新駅」の名称です。

≪JR東日本 2016年6月5日付プレスリリース資料より≫


■なぜこのように盛り上がるような事態になったのか?

 品川新駅(仮称)の出来る位置は、山手線の田町駅と品川駅の間、都営浅草線と京急本線の泉岳寺駅からほど近い場所になります。

 普通に考えれば、JR線と京急線、そして地下鉄線という3路線を結ぶ駅なのですから、「泉岳寺駅」で何ら問題なかったはずです。(ちなみに5路線の集中する地下鉄「大手町駅」は、丸ノ内線の大手町駅から都営三田線の大手町駅まで約600mあるそうです。(※1))

≪東京都都市整備局2017年3月発表「品川駅北周辺まちづくりガイドライン」より
品川新駅と泉岳寺駅とはペデストリアンデッキで結節することが予定されている≫

 ところが、この「泉岳寺」という駅名。過去にその名称権を巡り、泉岳寺と、都営線を経営する東京都が裁判で争ったという過去があります。(※2)
 当時の判決では泉岳寺側の主張は退けられたものの、ややもするとお祭りムードに水を差す可能性のある蛮勇を、今回あえてJR東日本が行うかというと、その可能性は低いと思われます。

 
■駅名候補は大きくわけて3種類。
 地名系(高輪・芝浦・港南)か、
 プロジェクト系(東京サウスゲート・しながわ新都心)か、
 リブランド系(新品川)か。

 思わぬ形で皆が新駅命名に知恵を捻る形になった今回の山手線の新駅設置計画。そういう意味では、駅名公募を企画したJR東日本にとってみれば大変だったのかも知れませんが、元を糺せば過去に泉岳寺が自身の名称に拘りを見せてくれたたお陰で、ここまで注目が集まる結果になったともいえます。
 現在、メディアやネット等にて噂される有力候補は大きくわけて3種類です。

 一つ目は、オーソドックスに、駅立地周辺の地名を由来とする「高輪」「芝浦」「港南」など。
 二つ目は、オリンピックイヤー開業という記念碑的な意味もある、プロジェクト名称系の「東京サウスゲート」や「しながわ新都心」など。
 三つ目は、既存の品川駅を補完・発展させるリブランド系の「新品川駅」など。

 それぞれに思い入れのあるどれも甲乙付けがたい名前ですが、ここでは折角ですので、「もし品川新駅がこんな駅名だったら…」と、不動産屋の視点から見たその後起こりそうなことを少し予想してみたいと思います。


■品川駅の南にある北品川駅。そして品川駅の北側にできるサウスゲート(南口)駅

 「品川」という地名が名前に含まれる駅には、JR線「品川駅」と京急本線「北品川駅」があります。

 この両駅には比較的有名な鉄道トリビアがあり、一つは「JR線の品川駅は品川区にはなく、港区にある」というお話しと、もう一つは「品川駅の南側に北品川駅がある」というお話しです。
 なぜこのようになったかについては歴史的背景があります。

 簡単にまとめると、日本で鉄道の開業する明治5年(1872年)以前においてはまだ、列島規模での主力輸送手段は、廻船を初めとする海運(水運)や、伝馬・駄賃馬といった陸運が中心でした。こうした旧体制下で栄えていた当時の品川宿は、その権益に真っ向から対立する鉄道駅の敷設に反対。結果的に明治政府は、港区の南のはずれ、品川区の北側と境を接する現在の場所に品川駅を置きました。(※3)
 こうした長距離の輸送手段が鉄道に置換されていったのと時を同じくして、外国から横浜へ持ち込まれた「馬車」(乗合馬車)は都民の足として大いに重宝され、これの代替手段として東京市電(いまの都電)が生まれます。詳しい経緯は端折りますが、北品川駅はこうした市電のような近離輸送を担う駅でもあったため、「品川区の北(あるいは目黒川より北の北品川宿)にある駅」という、地理的分かり易さからこの名前に定まりました。

 このような経緯に鑑みると、元々、東京オリンピックに向け羽田空港からの南の玄関口として品川エリアを整備するという「東京サウスゲート」構想に則って設置されることとなった品川新駅に、「名は体を表す」を地で行く形で、プロジェクトと同じ名前を付けるというのは考えられないではありません。
 その結果、輸送手段の技術革新や私たちの価値観の変化により、トリビアと化してしまった品川駅や北品川駅と同じように、東京サウスゲート駅が「品川駅の本当のサウスゲート(南口)は、品川駅の北側にある」と言われる時代がやってくるかも知れません。

※1 NIKKEI STYLE 2011年6月17日付「地下鉄、足で調べた乗り換え距離ランキング」
※2 虎の門法律特許事務所・不正競争防止法 判例紹介ページより「泉岳寺事件(東京高裁平成8年7月24日判決)」
※3 過去記事「現地取材≫流山おおたかの森、戸建てで子育てが実現する街/上」でも触れましたが、千葉県流山市周辺における鉄道敷設が2005年のつくばエクスプレス開業まで遅れたのも、同様に新旧の運輸権益の対立が一因でした。
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